国土交通省は2033年には全国で40万橋以上が老朽化し、補修工事の必要性が急増すると予測しています。老朽化が進む橋梁インフラの維持管理においては、限られた予算・人材・時間の中で、効率的かつ確実な補修方法が求められています。特に土木学会が推奨する「当て板工法」は、短期間・部分的な施工が可能で、交通や住民生活への影響を最小限に抑えつつ、構造物の延命に大きく貢献する現実的な補修手法です。

この工法の成否を左右する1つに、金属パテの選定と適切な使用があります。最適な金属パテを用いることで、安全性の確保と補修効果の向上が実現でき、今後ますます増加する老朽インフラの補修ニーズに応えることができます。
金属パテを必要とし、選定する理由とは?
老朽化した橋梁の補修において、金属パテの選定と使用が不可欠である理由は以下の通りです。
- 1.補強材(当て板)と母材(既存構造物)の密着性向上
当て板工法では、鋼板やFRP板などの補強材を既存構造物に貼り付けますが、既存構造物の表面には凹凸やひび割れ、欠損が多く見られます。金属パテはこれらの凹凸を埋めて均一にし、補強材と母材の密着性を高める役割を果たします。 - 2.接着力・耐久性の確保
金属パテは高い接着力と耐久性を持ち、長期間にわたって補強材が剥がれないようにします。また、水分や化学薬品にも強く、屋外環境でも性能を維持できるため、信頼性の高い補修が可能です。 - 3.応力伝達の効率化
当て板工法の目的は、損傷部の応力を補強材に分散・伝達することです。金属パテは母材と補強材の間の隙間を埋め、応力が均等に伝わるようにします。隙間があると局所的な応力集中や補強効果の低下につながるため、パテでしっかり充填することが重要です。 - 4.防水・防錆効果
金属パテは水分や空気の侵入を防ぎ、母材のさらなる劣化(錆や腐食)を防止します。特に鋼板を使用する場合、錆の発生を抑えるためにもパテで密閉することが不可欠です。 - 5.施工性の向上
金属パテは現場で簡単に成形・充填でき、施工性が高い材料です。乾燥・硬化も比較的早く、工期短縮にも寄与します。
これらの理由から、橋梁補修においては適切な金属パテの選定と使用が極めて重要となります。
アルミナセラミック粉を配合した「耐摩メタル」
関西パテ化工株式会社では「当て板工法」に用いることの出来る補修材を幾つかご用意しています。ここでは「耐摩メタル」についてご紹介します。
「耐摩メタル」は、アルミナセラミック粉(※1)を高含有しており、耐摩耗性を必要とする防水・防食・補修ライニングにオススメの金属パテ補修材です。

鉄、ステンレスなどの金属全般に強い接着力があり、特にコンクリート、石材、木材を適切に接着した場合には、母材が破壊するほどに強力に接着できます。そのため、橋梁や歩道橋などの金属部の腐食防食補修に用いるなど、「当て板工法」に採用する金属パテとして非常に適しています。
※1 酸化アルミニウムを主成分とした粉末のことで、耐熱性や電気絶縁性、耐摩耗性などの優れた特性を備えている。
「耐摩メタル」を用いた施工事例
橋梁の補修工事では、雨水や湿気の影響で鋼材部分に水が侵入し、腐食が進行してボロボロになってしまうことがあります。こうした腐食した部分の隙間に「耐摩メタル」を用いてパテ埋め作業を行います。

次に、表面全体を総パテ作業(※2)で均一に仕上げ、当て板との密着性を高める下地を作ります。

その後、パテが硬化する前に鉄板を手早く貼り付け、ボルトでしっかりと固定します。パテが硬化する前に貼り付けることで、鉄板と母材の密着力が大幅にアップし、耐久性の高い補修が可能となります。

このような工程により、腐食や摩耗が進んだ橋梁部材でも、短期間で信頼性の高い補修を実現し、交通規制の時間も最小限に抑えることができます。

※2 凹みやひび割れなどを埋めて表面全体を均一で滑らかに仕上げる
確かな技術と品質で人々の生活を守る
関西パテ化工株式会社が製造・販売する金属パテは、耐震補強工事や性能回復工事など、さまざまな橋梁補修の現場でご利用いただけます。
今回ご紹介した「耐摩メタル」をはじめ、速硬性・耐熱性・耐薬品性・湿潤面対応など、多様なニーズに応える補修材を豊富に取り揃えています。老朽化インフラの維持管理や補修工事において、最適な金属パテの選定と活用が安全性と耐久性の向上につながります。
今後のインフラ維持管理に、ぜひ関西パテ化工株式会社の金属パテをご活用ください。
